2022年度(令和4年) 裁判情報
第5回 口頭弁論期日報告 2022年4月28日(木)最終弁論
東京地方裁判所806号法廷 午後4時~午後4時30分
日本航空(JAL)ボイスレコーダー等開示請求事件 令和3年(ワ)第7609号
原告:日航123便遺族 吉備素子 
代理人弁護士 三宅弘 光前幸一 安齋由紀 8名のうち出廷3名 
 
被告:日本航空株式会社
代理人弁護士 ゾンデルホフ&アインゼン法律特許事務所 山下淳 鈴木秀彦 寺前翔平
傍聴席 ほぼ満席
★裁判官交代
◎突然、第1回口頭弁論期日から第4回口頭弁論期日までの裁判官が交代となった。
そこで、混乱防止のために以前と今回の裁判官名を明記する。
第1回から第4回までの裁判官及び書記官名
裁判長 三輪方大  
裁判官 岩田真吾
裁判官 瀬戸麻未 
書記官 佐野秀樹
第5回最終弁論及び結審での新裁判長、裁判官及び書記官名
裁判長 加本牧子
裁判官 岩田真吾(留任)
裁判官 矢崎達彦
書記官 高橋 泰
《内容抜粋》
裁判長が突然交代したため、先に準備書面の受け取り確認、及び個人情報保護法の再確認を行う。個人情報は、重畳的多義的であって、決して情報自体の中に当該対象者を識別する要素を含むものには限定されていない。個人情報と個人情報識別、つまり名前がついているといったこととは異なるということを三宅弁護士が説明した。(補足説明)死ぬ直前の恐怖の状況や死に至るまでの実態を明らかにすることも含めての個人情報であって、日本国の裁判の経緯や文献をみてもそれらは明らかである。
しかし、日本航空側はこの点を無視し続けており、その理由も論証もない、というのが前回までである。
◎裁判の主とした発言の要約は次の通りである。
三宅弘弁護士:本日は吉備素子さんが来たがっておられたが、体調が思わしくなく諦めた。本人の意志を尊重して、その代わりに本日の弁論で法廷にて流してもらおうと考えまして、2日前にレターパックにてして録画済みDVDを裁判所と被告に送ったのですが。
加本牧子裁判長:受け取っておりません。
被告側弁護士:こちらも受け取っていません。
加本牧子裁判長:陳述書とビデオは改めて見ますので、その前提で本日を結審とさせてください
原告側光前弁護士:これまでは今一つ議論がかみ合っていなかったと思います。裁判所はどういう御認識なのでしょうか?争点がかみ合わないまま、判決されるのは不本意です。
被告側山下弁護士:私はシンプルな裁判だと思っていますし、これ以上の弁論は不要だと思います
加本牧子裁判長:これまでの流れと双方の主張内容は把握しているつもりです。万が一の場合は相談させていただきますので、これをもって結審ということにさせて下さい。判決は7月14日の木曜日、11時から同法廷にて、以上(終了)
結局、前の三輪裁判長から、日本航空に対して、正面から十分に議論をするようにと釈明を要望されたにもかかわらず、今回も一番最初の答弁書と同じ内容で、数枚出したのみであった。
補足:三宅弘弁護士が、吉備さんの最後の陳述書を朗読するDVDのことを話した際、加本裁判長が、『DVDは以前のものを見ました、三宅弘弁護士が送付した最新のものは見ていない』と発言した。それを聞いて吉備素子さん代理人弁護士側が大変驚いて慌てるという場面があった。
その時、なんと日航側弁護士の顔は、ニタニタという笑い顔をしたのである。(傍聴者、マスコミも含む複数証言)
特に、3名の日航側弁護士は『今更何を言っているのか』という雰囲気で、三宅弁護士が慌てている様子を見て嘲笑った。(複数証言有)そして、日航側弁護士は、『裁判官の判断にお任せします』と発言した。
*その時の傍聴者の目*
日本航空側弁護士は、明らかに裁判官へゴマすりの態度であった。もしかすると、日航側弁護士はこうなることを予想して、裁判官と口裏を合わせていたのではないかと疑われても仕方がない。いずれにしても、法廷でニタニタはおかしい。
以上は事実である。
吉備素子さんが、必死の思いで訴えた原告の最後のビデオを、受け取っていない、という裁判長。そして日航側弁護士も受けて取っていないという。
吉備素子さんの代理人弁護士が驚く様子や慌てる様子をあざけ嗤った日航側弁護士は、自分たちの飛行機が墜落したことで殺した遺族のことを笑ったのと同じである。
皆さん、どう思われますでしょうか。これは許しがたい行為であり、笑っていないとは言わせません。そして、その裏の意味を考えなければなりません。
 
私たちは皆さんとご一緒に、まっとうな判決がなされることを心から願います。
参考までに:
原告側が出した証拠証明書は甲1号証から甲53号証までの膨大な量です。
一方、日本航空側が出した証拠証明書は、乙1号証(運送約款パンフレット)、乙2号証(新聞記事二枚)たったこれだけです。
これで、判決が下るということはどういうことなのか。さらに、今回のDVD未到着で、法廷で吉備素子さんの映像が流れず、大変残念な結果となりました。『突然の裁判官交代』も知らず、『DVDは届いていない』という言葉に驚いて慌てたこちら側弁護士を、この法廷でニタニタと嘲笑った3名の日本航空側弁護士は、一体、なぜ、笑ったのか、それはどういう意図であったのか。遺族の吉備素子さんの最後の必死の訴えに対して、山下淳弁護士、鈴木秀彦弁護士、寺前翔平弁護士が嘲笑ったことになります。
皆さん、ぜひこの判決を注視してください!
 
《終了後の囲み取材内容抜粋》
三宅弁護士:自己情報コントロール権に基づきボイスレコーダー等の開示を求めることを軸として、信義則にもとづく国内運送約款の不随義務として情報提供義務があるとしている。
被告側は、本件データの開示義務は生じない、という一点張りである。
事故調査報告書にはボイスレコーダーの音声部分に多くの解読不明な箇所がある。これは全部を反訳されていない。意図的に反訳を避けたともいえる。最高裁の判例でも明らかであるが、個人情報には多義的面があり、情報とはそういうものである。運送約款においても、死亡したら消滅するわけではない。信義則に基づき、妻が夫の死の状況を知りたいという知る権利を満たすものを提供しなければならない。
しかし、日本航空側は、裁判官(前の三輪方大裁判長)が、もっと日本航空はこの点を釈明するように、と言ったにもかかわらず、一切まともに答えない。正面から議論をしない。
今回、裁判長、裁判官が交代したが、民事にもかかわらず、私は知らずに今日を迎えた。
DVDは、取り急ぎ原本を見せたので、一応問題はない。(しかし、法廷で吉備さんの映像は流れなかった)
私は長年個人情報保護法の法制定に関わってきたが、個人が識別される情報だけではなく、あらゆるデータ、それは周辺の人たち、家族にとっても重要な情報であり、特に死亡した状況を知りたいというのは、遺族固有の敬愛追慕の念の重要な要素である。判例でも証明されている。判決は、裁判官にこの点をゆだねているわけだから、何にも束縛されずに誰にも遠慮することなく、堂々と判決を書けばよいのである。遺族にとっては、この世から消えた愛する人の個人情報は重大な情報である。こちらは当たり前に法律にもとづき、契約法の概念にも基づいて開示請求をしている。既に理論は構築されているのだから、裁判官が思い切って判決を書くことを心から願いたい。
以上の経緯で、7月14日(木)11時から806号法廷で判決となります。
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第4回 口頭弁論期日報告 2022年2月24日
東京地方裁判所806号法廷 午後3時~(15分程)

日本航空(JAL)ボイスレコーダー等開示請求事件 令和3年(ワ)7609号 東京地方裁判所
原告:日航123便遺族吉備素子 被告:日本航空株式会社
傍聴席は前回より若干少なめですが、8割程度埋まっていました。
《内容抜粋》
前回、前々回にわたって裁判官が日本航空側代理人弁護士に対して指摘した点、「 日本航空側の契約への認識として、 運送約款に書いていないから情報開示は必要ないのか、乗客が死亡する墜落事故を起こしたとしても、死亡によって契約は消滅して、遺族には情報提供義務がないのか」というような釈明を求められたにもかかわらず、日本航空側代理人弁護士は、答弁書で正面から捉えずに、遺族とは和解しているため、それで終わりだ、という内容と新聞記事を提出してきた。

つまり、日本航空側が、裁判官に指摘されたにもかかわらず、まともに答えない態度がはっきりと認識された。

そこで、原告であるこちら側が、その裁判官の宿題に応えるべく、その分野で長年研究を重ねてきた2名の専門家による鑑定意見書を出して、こちら側の正当な主張を補充した。

1.故人の死亡原因に関する情報について、遺族である配偶者が、個人情報保護法に基づき、自己の個人情報として、自己情報開示請求権を行使することが出来るかについての意見 

2.航空会社が、航空機事故により死亡した故人の死亡原因等に関する情報について、遺族である配偶者に対して、旅客運送契約・国内運送約款に基づき、契約上の不随義務・保護義務としての情報提供義務を負うかについての意見 

以上、2本の論文等を含む甲49号証から甲51号証を論拠に、吉備素子氏の正当な主張を補充した。

従って、日本航空側は、民法の信義則ならびに憲法にもとづき、吉備素子氏に情報を提供する義務が生じるという結論である。

 

退廷後、三宅弘弁護士による囲み取材の内容について抜粋して皆様にお伝えします。

《囲み取材内容抜粋》

三宅弘弁護士「前回、前々回とまともに答えない日航に対して、こちらから2名の専門家の研究者に鑑定意見書を書いて頂いた。契約の概念、つまりお互いに約束したことだけではなく社会的規範として、なぜその安全な運航が出来なかったのかについての情報を信義則という民法第1条第2項( 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない) 、この信義則上、そういうことについての情報提供義務がその旅客が亡くなったとしても、そのあとも残る。それが契約、というのが社会的規範なので、個々の合意だけではなくて社会で安全配慮義務と情報提供義務というのがある。 旅客が亡くなって、飛行機が落ちたとしても、敬愛追慕の念を有する妻、遺族にも第三者として効果が及ぶ。契約というのは、旅客とJALの関係だけど、契約が消滅した後も情報の提供の義務があり、第三者、いわゆる妻が、自分の情報として知る権利として及ぶ。こういう契約理論の根本のところを2名の専門家が鑑定意見書で書いてくれたので、そこで準備書面としてまとめて、裁判所に出しました。あれだけの大事故ですからね。JAL の主張としては、情報開示請求のものは、個人情報じゃない、飛行機の飛行状態なので、死亡した旅客の情報じゃない、それに対する事故情報開示請求権はない、とばかり言っています。(それに対する法的論拠は明記せず)。
遺族は、当然のことながら、なぜ亡くなったのかを知りたい。その重要なデータなのです。
遺族は8月12日の時点で人生が止まっているわけですし、吉備さんが生涯かけて知りたいと思っているわけです。損害賠償もらったからと言って、消滅するわけではないのです」


つまり、憲法の立場から個人情報保護制度を踏まえて、自分の情報は知る権利があるという権利構成があり、情報を持っている主体に対してその遺族として敬愛追慕の念を持っている亡き夫の情報を知る権利が吉備素子さんにある、ということである。


以上、傍聴者の感想としては、「日航側弁護士は全くまともな議論も書面も作成できない」ということです。オリンピック期間ですので例えれば、こちら側がアスリートレベルだとすれば、相手側はせいぜい中学生のレベルといえるでしょう。これは何を意味するのでしょうか。

つまり、日本航空は、マスコミさえ押さえておけば国民は知らない、こっそり裁判を行って、誰も報道しなければ自分たちは安泰だ、という姿勢ともいえます。これで、公共交通機関を名乗っているわけですので、JALに搭乗したら、何かあってもこの程度の不誠実さだということになります。

さて、日航側弁護士が法理論に基づき反論ができない様子ですので、次回で結審となると思います。

なお、次回は4月28日(木)午後4時から、東京地方裁判所806号法廷です。

これが最後となる予定ですので、皆さん注視してください。そして5月末から6月の間に判決が出ます。

今年の8月12日に、マスコミが、この歴史的重要な裁判報道をどう取り上げるのか、取り上げないのか、これが見どころです。日航と報道関係者が(特に過去同様、日本航空会社秘書室(会長室)と上層部などが個人的に航空券や金銭も含めて)癒着していることが明確になる絶好の機会となります。

実際に、裁判開始後、口頭弁論期日が近づくと、夏でもないのに美谷島8・12連絡会事務局長や柳田邦男氏と絵本の報道ばかりしているNHK(ラジオ、テレビどちらも)、CMで日航と取引している民放、これらは某国の情報操作レベル同様、日航側と結託して裏取引をしていると思われても仕方がないでしょう。報道関係者が裁判進行中の一民間企業と癒着しているとなれば、これは大問題です。
こういうマスコミの動きも含めて、私たちは注視していきたいと思います。


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●日本航空(JAL)ボイスレコーダー等開示請求事件
 令和3年(ワ)7609号 東京地方裁判所 原告:日航123便遺族吉備素子 被告:日本航空株式会社
次回期日:2022年2月24日(木)午後3時 東京地方裁判所806号法廷

【現状報告と次回の注目すべきポイント】

昨年に引き続き、第4回口頭弁論期日となる。
被告の日航側弁護士は、運送約款、和解の新聞記事のみで反論を繰り広げている。それに対する裁判官から日航への質問、「信義則に基づく情報提供義務の有無に対する日本航空の解釈を述べよ」という問いに正面から弁論を避け、新聞記事のみを持ち出して、「遺族は既に和解しているから、金をもらったのだから全て終了している、遺族への情報提供義務はない」と述べた。これに対し、次回原告の吉備素子さん側弁護士は、死者の情報が遺族固有の個人情報に当たること、さらに契約責任における情報提供義務が生じるという点について、専門家による意見書を提出する予定。